シューベルト最期の家とシューベルト公園

前々回と前回に引き続き、シューベルト最終回です！

1828年8月に入ると、シューベルトは激しい頭痛とめまいに襲われます。医者に郊外で療養すること勧められ、次兄フェルディナンドの家に9月1日に引っ越します。11月19日に亡くなるまでの約2ヶ月半の間、この家で音楽史に残る珠玉の傑作を残しました。亡くなる2週間前には対位法のレッスンの申込に行ったシューベルト。それが最後の外出になりました。
このフェルディナンドの家が、「シューベルト最期の家」として公開されています。フェルディナンドの家は当時はウィーン郊外でしたが、今となってはウィーンのほぼ中心に位置していて、ウィーンの台所ナッシュ・マルクトやクリムトの分離派会館の近くにあります。

この階段を登っていくのですが、他の部屋は一般の方が住んでいらっしゃるので、住民の方とすれ違うこともあります。
この整理棚は、シューベルトが過ごした時からあるものだそうです。この時は、特別に引き出しや開きを開けてみせて頂きました。
シューベルトも弾いたというピアノが置いてあります。この時は恐れ多いのですが、弾かせて頂きました。

2部屋しかないこの家で、シューベルトが亡くなったのはこちらの部屋だそうです。胸がいっぱいになります。

シューベルトが亡くなった2日後に、フェルディナンドが父に宛てて書いた手紙のファクシミリです。シューベルトの最期の言葉から、シューベルトがベートーヴェンの側で休むことを望んでいると思ったフェルディナンド。シューベルトのお墓をベートーヴェンの隣にしてあげようと思い、自分は出来る限りのお金を出すから、少し援助してほしいと訴えています。最後まで弟思いのお兄さんで、シューマンがこの家を訪ねてきた時、シューベルトの未出版の自筆譜をすべて保存していました。

【最期の家】　最期の家9枚
4区, Kettenbrückengasse 6
水曜、木曜10〜13時および14〜18時　毎月第一日曜日：入場無料

シューベルトのお墓はどうなったかというと、フェルディナンドの提案通り、ベートーヴェンの隣に葬られました。中央墓地にもお墓がありますが、それは後から作られたもので、オリジナルのお墓はヴェーリング墓地、今ではシューベルト公園と呼ばれるところにあります。

本当に2人のお墓は隣にあります。フェルディナンドが費用を準備して、お父さんを説得してくれたからこそですね。

2人の間のプレート。ベートーヴェンとシューベルトの最初のお墓があった、とあります。

シューベルトの墓石。この2人のお墓があるだけで、今は公園になっています。広々とした芝生の上に、人々が思い思いに日光浴していました。